タンパク質発現システム

Thermo Scientific Pierce Human In Vitro Protein Expression Systemは、翻訳反応に必要なヒト細胞内成分を試験管内に取り揃え、目的タンパク質の遺伝子配列を含む翻訳鋳型を添加することにより望みのタンパク質を合成するシステム(ヒト細胞由来無細胞タンパク質合成システム)です。翻訳反応は1.5-3時間以上持続しますが、エネルギー源や特別なタンパク質を添加することによって翻訳反応が再開されるため、反応副産物を除去することなくタンパク質合成を6時間以上続けることが可能になります。

生細胞を利用する組換えタンパク質合成システムと比べた場合、無細胞タンパク質合成システムでは生きた細胞では毒性のあるタンパク質についても、合成が可能であること、非天然アミノ酸の取り込み合成が容易であること、特別な装置を必要とせず手軽に短時間でタンパク質合成が行えること(大腸菌系では一晩以上の培養が必要、昆虫細胞系では合成・調製に1週間以上必要)、少量スケールで反応できるため、マイクロプレート中でのハイスループット合成が可能なこと、再現性が高いことがアドバンテージになります。

パフォーマンス比較データ

Thermo Scientific Pierce Human In Vitro Translation実験の流れ
DNAを鋳型として、目的遺伝子配列を含むmRNAをin vitro 転写反応(32℃、1時間)により合成します。つづいて転写後の反応液を翻訳反応液に添加して30℃で90分以上合成を行います(糖タンパク質合成系の場合は通常28℃で合成します)。翻訳鋳型としてmRNAが調製されている場合は、翻訳反応液に直接適量を添加してタンパク質合成することも可能です*。

mRNAの非翻訳領域(UTR; untranslated region)の配列が翻訳効率に影響するためThermo Scientific pT7CFE1-CHis Vectorを用いてクローニングし、このDNA鋳型から調製したmRNAを使用されることをおすすめします。

Pierce Human In Vitro Protein Expression System は、原核生物由来の無細胞システム(大腸菌系)では困難な、哺乳類動物由来のタンパク質やマルチドメインからなるタンパク質の合成が可能です。また他の真核生物由来の無細胞システム(コムギ胚芽系、ウサギ網状赤血球系、昆虫細胞系)と異なり、ヒト型糖鎖修飾システムによる糖タンパク質合成が可能です。糖タンパク質の合成にはHuman In Vitro Glycoprotein Expression Kitをおすすめします。