Dharmaconテクニカルサポート
(第6回 Accell siRNA実験のポイント)

Accell siRNAはトランスフェクション試薬を使わない、新しいタイプのsiRNAです。従来トランスフェクションが困難とされていた細胞(初代培養細胞、神経細胞、免疫細胞など)でも導入が確認されており、お客様からのお問い合わせがとても多い製品です。前回のメールマガジンではAccell siRNAの特長についてご紹介しましたが、ここではAccell siRNAを使う上でのポイントについて説明します。
(執筆担当 サーモフィッシャーサイエンティフィック(株)バイオサイエンス事業本部 牛山)

実験方法

Accell siRNAの使用方法はとてもシンプルです。Accell siRNAの溶液を専用の培地Accell siRNA delivery mediaと混合し、細胞の培地と置き換えて培養します。培養時間は、mRNAレベルでノックダウンを評価する場合は72時間、タンパク質レベルでのノックダウンを検出する場合は96時間を推奨しています。トランスフェクション試薬を用いる場合とくらべるて、やや長め(24時間程度)になります。実際の培養時間は、ノックダウン効率が遺伝子ごとに異なるため、前後の24時間くらいを含めて時間経過を確認することをおすすめします。培養に用いるAccell siRNA delivery mediaに対して細胞の安定性が十分でない場合は、Accell siRNAによる培養を72時間した後に、通常の培地に戻し、続けて24時間さらに培養します。

Accell siRNAの濃度

実験に使用するAccell siRNAの濃度は1μMが推奨されています。トランスフェクション試薬を用いる場合と比べると高い濃度になりますが、トランスフェクション試薬を使わないため細胞毒性やオフターゲット効果が低く、通常問題なく使用できます。濃度を低くする場合は、はじめに1μMにてAccell siRNAの導入とノックダウン効果が十分であることを確認した後に、必要に応じて濃度についての検討を行います。

細胞密度

Accell siRNAを用いるとき、細胞株の種類ごとに適切な細胞密度で細胞を培養します。Accell siRNAでの培養時間はやや長めであることと、細胞生存率やノックダウン効率への影響を考慮して検討します。代表的な細胞株については、前回掲載の表1「Accell siRNAで発現抑制が確認されている細胞」に細胞密度の目安が記載されています。

培地

Accell siRNAを導入するときには、専用培地であるAccell siRNA delivery mediaを用いることをおすすめしています。Accell siRNA delivery mediaは、Accell siRNA用に最適化された組成の培地です。多くの細胞株において、十分なノックダウン効率と良好な細胞生存率を示すように開発されており、一般的にはAccell siRNA delivery mediaを試すことをおすすめします。ただし、一部の細胞株に対しては細胞の安定性を高めるために、血清やサプリメントの添加、通常の培地の使用について、検討が必要な場合があります(下記参照。前回掲載の表1「Accell siRNAで発現抑制が確認されている細胞」にも関連情報があります)。
お使いの細胞株ではじめてAccell siRNAを用いる場合は、Accell siRNA delivery mediaのみで96時間ほど細胞を培養し、細胞の状態を確認することをおすすめします。特に問題がなければ、ポジティブコントロールsiRNA、ネガティブコントロールsiRNAを用いて導入効率、ノックダウン効率を確認します。

血清

 Accell siRNAの導入効率を高めるため、血清の濃度はなるべく低くする必要があります。基本的にはAccell siRNA delivery mediaのみで培養するようにします。Accell siRNA delivery mediaのみで培養して細胞の状態に問題があるときには、血清を添加して検討します。血清は3%程度まで添加することができます。

プレートコーティング・サプリメント

 必要に応じてプレートコーティング・サプリメント・他の培地を使うことができます。他の培地を使う場合は、無血清もしくは血清濃度3%以下とします。評価済みのプレートコーティング・培地、サプリメントの情報を表に示します。使用の際は細胞の状態とノックダウン効率への影響について十分に注意する必要があります。

表 Accell siRNA評価済みプレートコーティング・培地、サプリメント

表 Accell siRNA評価済みプレートコーティング・培地、サプリメント
Accell siRNAの導入効率を高めるため、血清の濃度はなるべく低くしてご使用ください。

抗生物質

 Accell siRNAの導入ではトランスフェクション試薬を使わないため、抗生物質を添加しても導入効率・ノックダウン効率・細胞生存率に影響がないことが確認されています。

まとめ

 Accell siRNAは多くの細胞株において、Accell siRNA delivery mediaおよび1μM Accell siRNAの条件で使用できます。使用例のない細胞株でAccell siRNAを用いる場合は、Accell siRNA delivery mediaのみで細胞を培養し、細胞の状態を確認します。必要に応じて血清やサプリメントの添加を組み合わせます。このように実験を進めることで、Accell siRNAでは従来トランスフェクションが困難とされていた多くの細胞でのsiRNA導入が確認されています。

バイオサイエンスメール その他の記事