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(アフィニティ精製における結合・溶出条件の最適化)
はじめに
アフィニティ精製は抗体精製や免疫沈降など、広く利用されている精製法です。一般的には、PBS, pH 7.2のような生理的条件での結合と、100 mM グリシン, pH 2.5-3.0のような酸溶出で精製を行いますが、様々な結合・溶出条件が検討されることがあります。
結合条件
pH 8.2でIgG結合キャパシティが最大となるProtein Aに対して、Protein GはpH依存性が低く広範囲のpH領域で結合キャパシティが維持されます。Protein A/GはProtein AとGのIgG結合サイトを融合させた組み換えタンパク質で、Protein G同様に低いpH依存性を示します。

図. アルファベットタンパク質のpH依存性
塩に関しては、通常150 mM NaClなどの塩が添加されますが、Protein Aでは1 M以上の塩の添加によりマウスIgG1の結合が増強されることが知られています。Pierce IgG Binding BufferはImmobilized Protein A, G, A/Gを使用したアフィニティ精製に各組成が最適化されており、一般的な結合バッファーに比べて結合キャパシティにおける改善が期待できます。血清や腹水を1:1希釈するだけのready-to-useな製品です。
| Immobilized Protein A [製品コード20333] |
Immobilized Protein G [製品コード20398] |
|||
| 結合バッファー | 0.1Mトリス塩酸, pH 8.0 |
Protein A IgG Binding Buffer [製品コード21001] |
0.1Mトリス塩酸, pH 8.0 |
Protein G IgG Binding Buffer [製品コード21019] |
| ヒト | 19.88 | 25.53 | 11.68 | 23.59 |
| マウス | 5.25 | 7.15 | 5.65 | 15.05 |
| ラット | 4.99 | 8.30 | 8.43 | 11.80 |
| ウサギ | 17.81 | 33.19 | 21.51 | 27.75 |
| ヒツジ | 2.15 | 10.64 | 25.53 | 33.33 |
| ウマ | 6.25 | 16.50 | 39.19 | 21.46 |
| ウシ | 6.16 | 22.76 | 31.72 | 48.10 |
2 mLレジンあたりのIgG結合キャパシティ(単位; mg)
溶出条件
酸溶出された抗体は、抗体活性を維持するため、アフィニティ精製後は速やかに中和されます。ただし、酸溶出で不可逆に変性する抗体もあり、そのような場合には異なる溶出条件が検討されます。Gentle Ag/Ab Binding/Elution Bufferは、中性付近のpH (結合pHは8.0, 溶出pHは6.6)で結合および溶出を行う精製システムで、溶出は高濃度の塩により行います。
酸溶出や塩(High Salt)溶出のほか、さまざまな溶出条件が報告されています。酸溶出は最初に検討される溶出条件ですが、酸溶出で効率的に溶出できない場合にはアルカリ溶出で効率的に溶出できることもあります。酸/アルカリや塩溶出のほか、これまでに報告されている溶出条件を以下に添えます。
| 溶出条件 | 例 |
| 酸 | IgG Elution Buffer, pH 2.8 [製品コード21004] 100 mM グリシン(塩酸), pH 2.5-3.0 100 mM クエン酸, pH 3.0 |
| アルカリ | 50-100 mM トリエチルアミンまたはトリエタノールアミン, pH 11.5 150 mM 水酸化アンモニウム 100 mM グリシン(水酸化ナトリウム), pH 10.0 |
| 塩 | Gentle Ag/Ab Elution Buffer, pH 6.6 [製品コード21013] 5 M 塩化リチウム 3.5 M 塩化マグネシウムまたは塩化カリウム 2.5 M ヨウ化ナトリウムまたはヨウ化カリウム 0.2-3.0 M チオシアン酸ナトリウム 0.1 M トリス酢酸, 2.0 M 塩化ナトリウム, pH 7.7 |
| 変性剤 | 2-6 M グアニジン塩酸 2-8 M ウレア 1.0 Mチオシアン酸アンモニウム 1% デオキシコール酸ナトリウム 1% SDS |
| 有機溶媒 | 10% ジオキサン 50% エチレングリコール, pH 8-11.5 |
| 競合 | 0.1 M以上のリガンド |
おわりに
結合・溶出の条件は、精製後の抗体や抗原の活性維持のほか、収率やアフィニティカラムの寿命(再生回数)にも影響することがあります。



